2026/10/26 21:38


「ほどよいお財布」が生まれるまで。

〜きっかけは、鞄の重さへの小さな疑問でした〜


皆さんは、普段持ち歩いている鞄の中に、何を入れていますか?
スマートフォン、お財布、ハンカチ、ティッシュ、鍵。人によって持ち物は違うと思いますが、このあたりは毎日持ち歩く必需品ではないでしょうか。


私も以前は本革の長財布を愛用していました。

当時、肩こりが酷かった私にとって、鞄の重さも肩への大きな負担になっていました。


「この重さ、どうにかならんもんか……」


そこで、鞄の中身を改めて見直してみたんです。もちろん、お財布だけが重さの原因ではありません。でも、長財布って意外と存在感があるんですよね。
しかも、お財布の中を見てみると、いつも使うわけではないポイントカードや、いつの間にか溜まってしまったレシート。気づけば、どんどん分厚くなっている・・・


耳が痛い人もいるはず(笑)


年に数回しか行かないお店のポイントカードまで、毎日持ち歩く必要があるんだろうか?

今まではありとあらゆるカードが無いと不安だったけど、そこはポイント集めなくても良くない?

そんなことを考えるようになりました。


スマートフォンを小さくすることはできないけれど、お財布だったら小さくできる。そして、必要なものだけを持ち歩くようにすれば、鞄だって軽くなるはず。そんな小さな疑問が、後に「ほどよいお財布」が生まれるきっかけになりました。



だったら、鞄を財布にしてしまおう!

実は、最初から今のようながま口財布を作ろうと思っていたわけではありません。むしろ、財布不要派でした。(笑)


「鞄の中に、財布なんて小銭入れだけでいいんじゃない?だったら、鞄そのものを財布にしてしまえ!」


そんな発想から、バッグのポケットにお札を直接収納し、カードポケットも付けて、小銭は小銭入れへ。わざわざ長財布を持ち歩かなくても、お会計に必要なものがバッグの中に揃っていればいい。

そんな使い方を提案するために作ったのが、縦長の「男前がま口バッグ」でした。

実際に商品として制作し、現在も制作販売しています。


イベントでは、そんな私の使い方を「なるほど!」とお求め頂く方もいれば、やっぱりお金はお財布に入れておきたいわ~と言われる方も。

そうか。お財布にお金は収納しておきたい人か・・・と考えている時、ふと思ったんです。


「うちにもオリジナルのがま口財布が1つあったらいいんじゃない!」


財布不要派だったはずなのに、今度は財布を作りたくなってしまったわけです。(笑)



がま口財布って、もっと便利にできない?

がま口財布といえば、昔から親しまれている親子がま口があります。大きながま口を開けると、その中に小さながま口があるタイプです。今も主流だと思います。


もちろん、それにはそれの良さがあります。でも、私は以前から少し気になっていました。
お財布を開けて、さらに中の小さながま口を開ける。


「それって、二度手間じゃない?」(私めんどくさがり屋なんです)


だったら、一度開けるだけで、お札も小銭もカードも取り出せるようにしたい。
お会計のたびに、あっちを開けて、こっちを開けて……。そんな動作を減らせたら、もっと便利になるんじゃないだろうか。

ここから、のんぱち屋らしいがま口財布作りが始まりました。



使われていなかった口金との再会

さて、財布を作ると決めたものの、まず考えなければならないのが口金です。どんな口金を使えば、使い勝手のいい財布になるだろう。。。そこで、手元にある口金を改めて見直してみました。

すると、以前カードケースに使っていた口金が目に留まりました。その口金はかなりの足長さんなので、作り方次第では大きくガバッと開く可能性がありました。

カードケース以外には使っていなかった口金。


「これ、財布にしたら便利かもしれない!」


そう思ったところから、いよいよ本格的な開発が始まります。



9回の試作。そして、思いがけない発見。

まずは型紙を引いて、試作品を作ってみる。
作っては直し、また作る。そんな試作を、およそ9回繰り返しました。

目指していたのは、コンパクトでありながら、使い勝手のいいお財布。ただ、どうしても引っかかっていたことがありました。それが、お札の収納方法です。


試作中当時の写真↑
お札を二つ折りで収納したり、真ん中にカードを入れたり(笑)


コンパクトな財布にする以上、お札を二つ折りにするのは仕方がない。頭ではそう考えていました。

でも、どうしても二つ折りにはしたくない……。

「コンパクト財布で、お札を折らずに入れるなんて……やっぱり無理かぁ……」


半ば諦め、半べそをかきながら、お札を片手に試作中のがま口をあれこれいじっていた、そのとき。


「あれ? 折らなくても入るかも!!」

思いがけない発見でした。

だったら、もっとスムーズに出し入れできるようにしたい!お札が引っかからず、滑るように出し入れできるには、どうすればいいだろう?
そこから、さらに工夫を重ねていきました。


口金の開き方、本体の形、蛇腹の角度、収納部分の工夫。すべるンですの採用。試作を繰り返しながら、ひとつひとつ使い勝手を確かめていく。そして、ようやく今の形が完成したのです。


とはいえ、形が完成したからといって、そこで終わりではありませんでした。完成後もミリ単位の修正を重ね、お札をよりスムーズに抜き差しできるよう調整。そうして使い勝手を整えながら、現在の「ほどよいお財布」へとつながっています。


たくさん入らない。だから「ほどよいお財布」。

完成したお財布は、決して大容量ではありません。

ポイントカードを何十枚も入れたい人には、物足りないかもしれません。でも、それでいいと思ったんです。そもそも、このお財布を作ろうと思ったきっかけは、重たくなった鞄をどうにかしたかったから。


お財布を小さくしても、使わないカードやレシートを詰め込んでしまったら、また重くなってしまいます。だったら、本当に使うものだけを入れて持ち歩こう。年に数回しか使わないカードは、思い切って整理する。


必要なものを、必要な分だけ。


たくさんは入らないけれど、普段使う分はしっかり入る。多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい容量。
「ほどよい容量で使ってほしい!」
そんな思いから、「ほどよいお財布」という名前になりました。


私が作りたかったのは、ただ小さいだけのお財布ではありません。小さくしたことで使いにくくなってしまっては、意味がないと思っています。

お札は折らずに収納できる。小銭もカードも、一度開けるだけで取り出せる。そして、毎日使うものを無理なく持ち歩ける。何でもかんでも詰め込むのではなく、必要なものを必要な分だけ持つ。

鞄の中身を少し見直すだけで、毎日の持ち歩きが軽くなる。そして、お会計のときにも、ちょっとした便利さを感じてもらえる。


肩こりに悩み、鞄の重さをどうにかしたいと思ったことから始まった財布作り。

あの頃の自分が感じた不便が、今ではたくさんの方に使っていただいている「ほどよいお財布」になりました。


日々の暮らしの中には、気づかないうちに当たり前になっている小さな不便が、まだまだあると思います。


そんなちょっとしたストレスを感じずに使えるよう、これからも工夫を考えながら、ものづくりを続けていきたいと思っています。

 ほどよいお財布はこちらから